Shopifyのサイズ表アプリを探し始めると、どれも同じことを言っているように見えます。「返品を減らす」「テンプレート多数」「ノーコードで設置」。実際、表を描く機能そのものにはもう大きな差がありません。差がつくのは、どの単位で課金されるかと、入れたあとストアに何が起きるかです。
この記事では、App Storeでサイズ表カテゴリー上位に並ぶ主要アプリ4本の公式リスティングを2026年7月27日に実際に開いて確認した内容をもとに、料金体系を3つの型に整理します。個別のアプリ名は挙げません。名前より、その料金が「何を数えているか」のほうが、あなたの請求額を決めるからです。あわせて、インストール前に自分で確認できる3点も紹介します。
Shopifyのサイズ表アプリに、本当に求められていること
「サイズ表を置くこと」自体は、もはやゴールではありません。Baymard Instituteのアパレル分野のUX調査では、デスクトップのアパレルサイトの83%、モバイルの87%が「十分なサイズ情報を提供できていない」とされています。裏を返せば、十分な情報を出せているのは、デスクトップで17%、モバイルで13%だけです。
この数字が意味するのは、多くのストアが「サイズ表を置いていない」のではなく、置いてあるサイズ表が、お客様のその瞬間の疑問に答えていないということです。S・M・Lの対応表だけが載っていて、実寸がない。cm表記だけで、海外のお客様が換算できない。生地が伸びるのかどうか書いていない。
ですからアプリ選びの基準は「表が作れるか」ではなく、自分が載せたい情報を、無理なく載せ続けられるかになります。ここで効いてくるのが課金軸です。
料金体系は、3つの型に分かれます
主要4アプリを並べると、料金の刻み方は次の3つに整理できます。金額はいずれも2026年7月27日時点の実査値で、変動します。
| 型 | 無料枠 | 有料の刻み | 上限に当たる場面 |
|---|---|---|---|
| A. 表の数で段階が上がる | 2〜3表(透かし表示が入るものあり) | 約$5で10表、約$12で20表、無制限は約$25 | 品目が増えたとき。売上とは無関係に、扱う商品の種類で決まります |
| B. 表の数+月あたりの利用量 | 3表・自動提案10回、または2表 | 月800回・2,000回・5,000回、あるいは診断100人/月といった刻み | 繁忙期。売れるほど上限に近づきます |
| C. 定額(表は無制限) | 3表・透かし表示あり | 約$5で無制限 | 増える単位を持たないため、上限はありません |
評価は4.4〜5.0、レビュー件数は122件から1,080件まで開きがあります。件数の差は、そのまま優劣ではありません。多いものは歴史の長さを、少ないものは新しさを表します。件数が少なければ実績の判断が難しく、多ければ「昔は良かったが今は」という声も蓄積します。星の平均より、直近1年の低評価レビューに何が書かれているかを読むほうが、はるかに参考になります。
あなたを刺すのは、機能ではなく課金の単位です
上の表でいちばん重要な列は、いちばん右です。その単位があなたの店の成長と一緒に増えるかどうかで、実質のコストが決まります。
A型(表の数)が刺さるとき
「10表まで」は多そうに見えますが、アパレルではすぐ足りなくなります。トップスとボトムスで表が違い、メンズとレディースで違い、さらにブランド仕入れが混ざれば供給元ごとに違います。40商品の小規模ストアでも、必要な表が15を超えることは珍しくありません。
確認方法: 現在の商品を「同じ寸法表を共有できるグループ」に分けて数えてください。その数が、あなたに必要な表の数です。商品点数ではありません。
B型(回数・人数)が刺さるとき
月あたりの提案回数や診断人数で刻む体系は、売れれば売れるほど上限に近づくタイプです。閑散期は余り、繁忙期に足りなくなります。
ここで注意したいのは、上限に達したときに何が起きるかです。追加課金なのか、その月は機能が止まるのか。止まる場合、いちばん売れている月にサイズ案内が消えることになります。リスティングの記載だけで分からなければ、インストール前にサポートへ質問してください。返答の速さと具体性は、そのままサポート品質の下見にもなります。
C型(定額)を選ぶとき
増える単位を持たない料金体系は、予算が読めるという点で優れています。ただし安さには理由があることも多く、今回の4本では定額・最安のものが、評価も最も低い(4.4)という結果でした。安定して予測できる料金と、必要な機能が揃っていることは別の問題として確認してください。
インストール前に確認したい3つのこと
ここからは、どのアプリを選ぶ場合でも共通して効く確認項目です。いずれもインストール前、あるいは無料プランの段階で自分で確かめられます。
1.商品ページが重くならないか
サイズ表は商品ページに常時読み込まれます。アプリがストア全体にJavaScriptを注入する方式だと、サイズ表を見ないお客様のページまで重くなります。
確認方法は簡単です。無料プランで設置したあと、商品ページでPageSpeed Insightsを設置前後で比較してください。とくにCLS(レイアウトのずれ)は要注意です。サイズ表が後から読み込まれて他の要素を押し下げると、購入ボタンを押そうとした指がずれます。
2.アンインストールしたら、入力したデータはどうなるか
サイズ表の作成には時間がかかります。その成果がアプリ提供元のサーバーにしかない場合、解約と同時に消えます。乗り換えのたびに一から作り直しになる、という状態は避けたいところです。
確認方法は2つあります。CSVで書き出せるか(書き出せれば最低限の持ち出しはできます)、そしてデータがShopifyのメタフィールドに保存されるか(保存されるならアンインストール後もストアに残ります)。前者だけでも大きな違いがあるので、無料プランのうちに一度書き出してみてください。
3.テーマを更新したときに壊れないか
アプリがテーマのHTML構造を読んで動作している場合、テーマを更新・変更すると表示が崩れることがあります。Shopifyのテーマアプリ拡張(アプリブロック)として提供されているアプリは、テーマのコードを書き換えずに動くため、この種の破損に強い作りです。
リスティングに「Works with: Online Store 2.0」の記載があるか、設置手順が「テーマエディタでブロックを追加する」形式かを見てください。「テーマのcodeにこのタグを貼り付けてください」と書かれていたら、テーマ更新のたびに手当てが必要になります。
アプリを入れないという選択
正直に書きます。商品点数が10点程度で、サイズ展開もシンプルなら、Shopify標準のメタフィールドと商品説明だけで足ります。表をHTMLで書いて商品説明に入れるだけでも、何もないよりはるかに親切です。
アプリが要るのは、次のような状況になってからです。
- 同じ表を何十商品にも使い回したい(=毎回コピーするのが現実的でない)
- 商品ごとに少しずつ違う注記を足したい(=一括管理と個別調整の両方が要る)
- cmとインチ、国内サイズと海外サイズを出し分けたい
- サイズ表の効果を返品データと突き合わせて測りたい
逆に言えば、これらに当てはまらないうちは、月額を払う価値は出にくいということです。
Mitasu for Apparel は、この問題をどう解いたか
前置きとして、ここまで見てきた3つの型は、いずれも合理的な設計です。どれかが不当というわけではありません。以下は「どれが優れているか」ではなく、同じ問題に対して私たちが選んだ答えと、その引き換えに諦めたものです。比較の材料としてお読みください。
増える単位を、ひとつも持たない
サイズ表の数、商品数、注文数、購入者からの回答数——どれが増えても料金は変わりません。定額です。
そう決めた理由は、この記事の3章そのものです。「上限に当たる」という体験を無くしたかった。とくに繁忙期に上限へ達してサイズ案内が止まる状態は、アプリとして最悪の壊れ方だと考えています。いちばん売れている月に、いちばん必要な情報が消えるからです。
引き換えにしたもの: 大口ストア向けの上位プランがありません。お客様の売上が伸びても、私たちの収入は増えない構造です。事業としては効率が悪いのですが、上限に怯えながら使うアプリにはしたくありませんでした。
ストアフロントにスクリプトを1本も足さない
商品ページに読み込まれるのは、テーマアプリ拡張のブロックだけです。グローバルなJavaScriptを注入しません。タブの切り替えも、cmとインチの切り替えも、追加のスクリプトなしで動くように作ってあります。
実測値は Lighthouse 92 / TBT 30ms / CLS 0 です。CLSが0であること、つまりサイズ表が後から現れて購入ボタンを押し下げないことは、この記事で「確認してください」と書いた項目そのものなので、自分たちが満たしていない状態では書けませんでした。
引き換えにしたもの: 派手なアニメーションや、凝った演出はできません。動きで魅せるタイプのアプリにはなっていません。
テーマのHTML構造を読まない
テーマのDOMを読みに行かず、バリアントの選択にも介入しません。参照するのはメタフィールドだけです。そのため、テーマを更新しても壊れる箇所が構造的に存在しません。
引き換えにしたもの: 「バリアントを選ぶと表が自動で切り替わる」という体験は諦めました。バリアントごとに寸法が違う場合は、切り替えるのではなく並べて表示します。テーマのJavaScriptに依存しないための判断です。
アパレル以外に広げない
私たちのアプリはアパレル専用です。ペット用品や家具に広げれば対象市場は何倍にもなりますが、採寸図の作り込み、胴回りを起点にした着られるかどうかの判定、生地の伸縮を踏まえたサイズ提案といった部分は、確実に薄まります。
引き換えにしたもの: アパレル以外を扱うストアには向きません。1つのアプリで雑貨も家具もカバーしたい場合は、汎用のアプリを選ぶほうが合理的です。
データの持ち出しを、有料機能にしない
サイズ表はストアのメタフィールドに保存されます。私たちのサーバーには置きません。アンインストールしてもデータはストアに残り、CSVでの書き出しは無料プランに含まれています。
この記事で「解約時にデータをどう持ち出せるか確認してください」と書いた以上、その確認に自分たちが答えられない設計にはできませんでした。
Shopify App Storeで公開中です。詳細はMitasu for Apparelのページにまとめています。
選び方のまとめ
- まず自分に必要な表の数を数える。 商品点数ではなく「寸法を共有できるグループ」の数です。この数字がないまま比較しても、どのプランが妥当か判断できません。
- 売上と一緒に増える単位で課金されないか確認する。 回数・人数の上限は、繁忙期にいちばん困る形で効いてきます。
- 無料プランで必ず一度設置し、設置前後のページ速度を比べる。 数字は嘘をつきません。
- 解約時にデータをどう持ち出せるかを、契約前に確認する。 作ったあとでは遅いためです。
- 星の数ではなく、直近の低評価レビューを読む。 「重い」「壊れる」「サポートが返らない」は、機能一覧には書かれません。
ここまで私たちの設計も書きましたが、上の5つの確認は、私たちのアプリを含めたすべての候補に同じように当てはめてください。設計思想がどれだけ立派でも、あなたの店の条件に合わなければ意味がありません。合うかどうかだけが、最後の判断基準です。
出典: Baymard Institute — Apparel: 10 Best Practices on Sizing; Shopify — Theme app extensions。料金体系・無料枠・評価・レビュー件数は、Shopify App Store のサイズ表カテゴリー上位にある主要4アプリの公式リスティングを2026年7月27日に直接確認した値です(本記事では個別のアプリ名を挙げていません)。いずれも変動するため、検討時にはご自身で再確認してください。